なぜ成立?先物オプション電話勧誘の罠
先物・オプション電話勧誘は、なぜ成立してきたのか
1. 起こりと発祥時期
先物取引自体は江戸時代の堂島米会所まで遡れるが、個人向けの電話勧誘ビジネスが本格化したのは1970〜80年代。商品先物取引(原油・金・穀物など)が一般投資家にも開放され、「値動きさえあれば儲かる」という構図が作られた。
90年代以降はオプション取引も混ざり、**「相場観がなくても戦略で勝てる」**という物語が強化された。
2. 仕掛ける側の下地となる考え方と利益率
このビジネスの本質は投資助言ではなく取引回転。
業者の収益源は
売買手数料
スプレッド
取引量に応じたインセンティブ
であり、顧客が勝つか負けるかは本質的に二次的。
利益率は非常に高く、固定費は
電話設備
顧客リスト
営業人員
が中心。商品在庫を持たず、**粗利率は50〜80%**に達するケースも珍しくない。
3. カモられる主なターゲット
典型は以下。
50〜70代の現役引退層
株は少し触ったことがあるがデリバティブ未経験
「銀行預金は増えない」と感じている
自分は詐欺には引っかからないという自負
重要なのは、完全な金融弱者ではない点。
むしろ「基礎知識があるが全体像は知らない層」が最適標的。
4. 商材の調達コストと内訳
実はほぼゼロ。
先物・オプション自体は取引所商品であり、業者は
システム接続
約款
営業スクリプト
を用意するだけ。
つまり「売っているのは商品ではなく、取引行為そのもの」。
5. 商品情報の非対称性
最大の非対称性はここ。
顧客:値動き・戦略・成功事例の話しか聞かされない
業者:長期的に顧客が負ける確率分布を完全に理解している
特に伏せられる情報は
手数料が期待値をどれだけ削るか
勝率と損益分布の歪み
「少額で大勝ち」の裏にある高確率小損の積み重ね
この非対称性は説明義務を形式的に満たしても消えない。
6. 単価・売上・市場規模
1人あたりの初期入金は
数十万円〜数百万円
が一般的。
市場全体は縮小傾向とはいえ、一定数の新規参入者が常に供給されるため、電話勧誘モデルは細く長く残る。
7. 売上配分構造
広告費(リスト取得):10〜20%
人件費:30〜40%
販売員インセンティブ:売上の20〜30%
残りが会社利益
営業担当は顧客の生存期間(取引継続)を延ばすほど評価される。
8. 購入者の維持費・価値毀損リスク
維持費は
取引手数料
ロールオーバーコスト
スプレッド
として常時発生。
価値毀損リスクは時間と取引回数に比例してほぼ100%に近づく。
9. 購入直後の損失率
実務的には
初期数週間で10〜30%減
数か月で50%以上減
は珍しくない。
1商品あたりの実損は数十万円規模。
10. 解約のしにくさと後々酷い目に遭う仕組み
「今やめると損が確定する」
「次のチャンスで取り戻せる」
というサンクコスト罠。
また、顧客が弱るほど「追加証拠金」という形でさらなる入金を正当化できる。
11. 法的抜け穴と規制
商品先物取引法・金融商品取引法により規制はあるが、
説明したことになっている
自主的判断を装う
ことでグレーゾーンが残る。
違法でないが不利という状態が最大の問題。
12. どうすれば避けられるか
唯一の実効的視点はこれ。
「この取引で、業者は“私が勝たなくても”儲かるか?」
答えがYESなら、個人が長期的に参加すべきではない。
先物・オプション自体が悪なのではなく、電話勧誘という販売形態と個人参加の相性が致命的に悪い。
総括
先物・オプション電話勧誘は
高度な商品
高い情報非対称性
回転売買で成立する収益構造
が噛み合った、極めて合理的なビジネスモデル。
だからこそ長く生き残り、
そして**「違法じゃないのが一番怖い」**典型例になっている。
これは悪人の話ではない。
構造の話や。
アクセス権のリクエストの送信に成功しました。












