同じ10年間に、同じ外国の国債に投資した2本の投資信託の成績は、マイナス22.5%とプラス52.9%でした。運用会社も、作った日も、目標の指数も、手数料の率も同じです。違うのは、名前の最後の「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の一言だけでした。100万円を入れていたら、一方は77万円に減り、もう一方は152万円に増えた計算になります。
並べたのは、大和アセットマネジメントが2016年9月26日に作った「ダイワファンドラップ 外国債券インデックス」の為替ヘッジありとなしです。どちらも日本を除く世界の国債の指数を目標にしています。ヘッジありの基準価額は10月1日に7,731円となり、作られてから最も安い値段をつけました。一方で残高は1,182億円と、作られてから最も多くなっています。高値からの最大の下げは、ヘッジありがマイナス27.4%、なしはマイナス10.0%でした。
為替ヘッジは、先に「1年後にこの値段で円に戻す」と約束する為替予約で行います。ドルの金利が円の金利より高いと、約束の値段はその金利差の分だけ円高になり、これが費用になります。運用会社の月次レポートにも「金利差相当分がコストとなり」と書かれています。日米の1年物の国債の利回りの差を費用の目安として毎日積み上げると、10年で1.26倍になりました。円安でドルの値段は1.57倍です。この2つを掛けると約1.98倍で、実際の2本の差1.97倍とほぼ一致します。
この動画では、1年ごとの成績を2本並べ、ヘッジありが勝ったのは円高が進んだ2018年から2020年の3年だけで、2021年からは6年続けてヘッジなしが勝っていることを確かめます。外国株でも、10年でヘッジありは2.63倍、なしは5.29倍でした。コロナの急落では、ドル円がほとんど動かなかったため、ヘッジは下げを1%分しか浅くしていません。一方、2006年からの20年に期間を延ばすと、2007年6月から2011年10月の円高期には、ヘッジありの外国債券がプラス12.1%、なしがマイナス20.0%と逆になり、リーマン・ショックの5か月では外国株の下げを16%分浅くしていました。ヘッジが守るのは、円高を伴う急落のときです。
お金の出入りも、基準価額と純資産総額から推計しました。ダイワのヘッジありの外国債券には差し引きで約1,420億円が入り、いまの残高は1,182億円です。りそなのラップ向けのヘッジあり先進国債券には、金利差がほとんどなかった時期に約1,160億円が入り、金利差が最も広がった年に約950億円が出ていきました。確定拠出年金向けのファンドでは、個人が選ぶため、ヘッジなしの残高のほうがはるかに多くなっています。
これからについては、言えることと言えないことを分けています。アメリカの政策金利は3.75から4%、日銀は1.25%で、日米の1年物の金利差は2.78%です。アメリカの10年国債5.22%からこの費用を引くと2.44%で、日本の10年国債3.09%より低く、この逆転は2022年6月から1,013営業日続いています。いまの費用で計算すると、損得の分かれ目は1年後に1ドル約154円です。2006年から去年10月までの4,637営業日で、ヘッジをかけて1年持った場合に勝ったのは37.6%の日でした。為替の行方は誰にもまだ分かりませんが、ヘッジの費用は買う前に分かります。ぜひ最後までご覧ください。
📌 取り上げた投資信託・会社
ダイワファンドラップ 外国債券インデックス(為替ヘッジあり/なし) / ダイワファンドラップ 外国株式インデックス(為替ヘッジあり/なし) / たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> / インデックスファンド海外債券・海外株式(ヘッジあり/なし) / 大和証券グループ本社(8601) / りそなホールディングス(8308)
⚠️ 投資は自己責任でお願いします。本動画は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数字は参考値です。
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